相続財産管理人とは?所有者が死亡し相続人がいない不動産の売却について

相続財産管理人とは?

我が国の相続事情の特徴として、相続財産に占める不動産の割合が非常に大きいという実態があります。

日本人は投資をあまりしない傾向にあるとされていますが、持ち家を好む国民性からかほとんどの相続事案では不動産が相続財産に入ってきます。

不動産は一般に大きな資産ですから、相続で不動産を承継できれば相続人としては嬉しいでしょう。

ただ、相続には特有のルールがあり、事情によっては相続人が不動産を引き継がない選択をするケースもあります。

その場合、被相続人にお金を貸している債権者は不動産を換価して貸付金の弁済を受けることができません。

これを手当てする方法として「相続財産管理人」を利用する手があるのですが、今回は初めに具体的なケースを想定して、相続財産管理人による不動産の売却手続きについて解説していきます。

相続した不動産にかかる税金などのことについては下記の記事で詳しく説明しています。
不動産を相続する際にかかる税金と節税方法 相続した不動産を売却時の税金は?売却までの流れと税控除

home4uで一括査定

\面倒な税金の計算は業者に任せよう!/

HOME4U公式サイトへ 

「相続財産管理人」とは?ケースで解説

相続財産管理人とは?
相続財産管理人は家庭裁判所によって選任されるもので、亡くなった被相続人に相続人がいない場合に相続財産を管理し、必要な清算手続きを行います。

ただし相続人がいないからといって自動的に家庭裁判所が選任してくれるわけではありません。

被相続人の債権者、あるいは相続財産から一定の財産を貰い受けることのできる権利を有する特別縁故者などがいる場合で、それらの者が自分で相続財産管理人の選任申立てを行う必要があります。

相続財産管理人は、上記のような一定の権利者のために相続財産を適切に管理し、これを原資として被相続人の借金の弁済を行うなどの清算実務を行います。

事案によっては不動産を売却してお金に換え、そこから弁済資金を捻出することもできます。

下記のケースではBさんはAさんの不動産を換金して、そこから貸付金の弁済を受ける道が開かれることになります。

ケース:亡くなったAさんにお金を貸していたBさん

Bさんは亡くなったAさんに対してお金を貸していましたが、Aさんは借金を返済する前に亡くなってしまいました。

Aさんには不動産以外に目立った財産が無かったため、BさんはAさんの不動産を売って換金し、そこから借金の返済を受けたいと考えました。

相続のルールでは不動産も相続財産に入りますから、相続人がいれば不動産は相続人のものです。

相続人の権利を無視してBさんは勝手にAさんの不動産を売ることはできません。

ただ、AさんにはXという子どもがいたため、Xが相続を承認すればBさんはXにAさんに対する借金の弁済を求めることができます。

相続のルールでは、相続人はプラスの財産だけでなく借金などマイナスの財産も引き継ぐことになるので、BさんはXに対して債務の弁済を求めることを考えていました。

しかし、Aさんには他にもいくつかの借金があり、プラスの財産よりも借金額の方が大きくなりそうなことが分かりました。

このままXが相続を承認すると、プラスの財産では賄いきれない借金の弁済に追われてしまうことになります。

そのためXは相続放棄をし、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がないことにしました。

つまり相続人が誰もいなくなってしまったわけです。

最終的には相続財産は国庫に入る

亡くなった被相続人の財産は、これを承継する者がいない時には最終的に国庫に入り国のものとなります。

国庫とは
財産権の主体としてとらえた場合の国のことです。
国庫は、国の別個の組織として独立して存在するものではなく、国を立法・司法・行政の機能の主体としての国と区別して財産権の主体としてとらえた場合に用いられる呼称であり、国庫には、現金(国庫金)のほか、有価証券、不動産、物品等様々な財産が属しています。

引用元:国庫制度の概要 : 財務省

今回のように相続人はいるけれども全員相続放棄をしたために相続人が誰もいなくなってしまったようなケースや、被相続人に配偶者や子、あるいは兄弟姉妹など法律で決められた一定の相続人が最初からいない場合は相続財産は最終的に国のものとなります。

では今回のように被相続人にお金を貸している債権者がいる場合は債権の回収を諦めるしかないのでしょうか。

前項までの話で、借金を引き継ぐ相続人が誰もいなくなってしまったため、Bさんは返済の請求をかける相手がいなくなってしまいました。

かといってAさんの不動産を勝手に売却することもできません。

この場合、債権者であるBさんは「相続財産管理人」を選任する手続きをとることで債権の回収が可能になります。

本章のケースでは、相続財産管理人にAさんの不動産を売却してもらい、その売上金から貸付金の弁済を受けるという道があるのです。

▼こちらもよく読まれています。
相続税評価とは 相続税評価額と計算方法について!土地や建物の価値がわかる

相続財産管理人の選任申立て手続き

相続財産管理人の手続き
相続財産管理人の選任申立ては被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、債権者などの利害関係者が申立てを行います。

申立てに必要な書類はケースによって変わりますが、概ね以下のようなものが必要になります。

申立てに必要な書類
  • 被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本
  • 被相続人の戸籍の附票
  • 申立人の戸籍謄本
  • 申立人の住民票
  • 被相続人との関係を証明する書類
  • 被相続人の財産目録
  • 不動産の登記事項証明書
  • 相続財産管理人の候補者を推薦する場合はその者の戸籍謄本及び戸籍の附票
相続財産管理人は、上述したような煩わしい法的な実務を行う必要があること、また公平性を担保しなければならないことから利害関係者はその職に就くことができないので、弁護士や司法書士などの資格者が選任されることが多くなっています。

申立てをする段階では特定の人物を家庭裁判所に推薦することができますが、裁判所はそれに拘束されることがないので、実務の遂行能力及び第三者的公平性を考慮して上記のような資格者が選任されることが多くなります。

相続財産管理人の選任申立てには、収入印紙代と官報による公告料、郵便切手代などで5千円前後の費用がかかります。

相続財産管理人の選任申立てには予納金が必要になることも

相続財産管理人の選任申立てには予納金
相続財産管理人の選任申立てには前項で述べた費用の他に「予納金」というものが必要になることがあります。

相続財産管理人はその職責として相続財産の管理や債権者等への債務の弁済を行う仕事をこなすことになりますから、一定の報酬の支払いが必要です。

原則として報酬は相続財産から支払われますが、報酬が不足すると困るので一定の予納金の納付を裁判所が求めることがあります。

予納金の負担者は相続財産管理人の選任を申し立てる者ですので、この資金の準備が必要です。

予納金の額は事案ごとに実務の複雑さを考慮して、概ね30万円~100万円程度の範囲で家庭裁判所が決定します。

金額がかなり大きいことの他に、予納金は戻ってこないことがある点にも注意しなければなりません。

相続財産は相続財産管理人の報酬よりも先に各債権者への弁済等に充てられることになり、それら清算が終わった後に相続財産管理人が報酬支払の申立てを裁判所に行います。

相続財産だけで報酬額が賄われない時には予納金が充てられ、そのお金は戻ってきません。

申立人は予納金が戻らなくなるリスクを背負うわけですが、「相続財産管理人の申立てをしたい」と強く願う者が金銭的な出費を甘受しなければならないのです。

ただし、相続財産から他の債権者も合わせて全ての清算が終わり、さらに特別縁故者への財産分与も行ったうえで、なお残った相続財産がある時には、そこから予納金分を上限として返金を受けることができます。

特別縁故者とは、相続人ではないので本来は相続財産を手にすることはできなくても、被相続人に相続人がいない場合において相続財産から一定の財産分与を受ける権利を有する人をいいます。

例えば内縁の妻など生活を共にしていた人や被相続人の生前にその療養看護に務めた人、その他被相続人と特別に近しい間柄にあった人は特別縁故者になれる可能性があります。

特別縁故者として財産分与の交付を受けたい人は家庭裁判所に申立てを行い、認めてもらう必要があります。

これら相続財産から一定の弁済や財産分与を受ける権利のある者に財産を交付し、残った相続財産から相続財産管理人の報酬を支弁したうえで、なお残った相続財産が予納金の返還原資となります。

予納金については申立人が出費を強いられることと、その額が大きいことが大変負担になることが法曹関係者の間で指摘されており、この負担を緩和するべきだという主張もなされていますが、現状では本格的なルール変更の議論は行われていません。

不動産の売却は別途許可申立てが必要

相続財産管理人は相続財産を原資として債権者等に返済をすることができ、不動産を売却して換金し支払いに充てることもできるとお話しましたが、不動産を売却する前にはもう一つ手続きが必要です。

不動産の売却は法律上の「処分行為」という扱いになり、これを行うには別途家庭裁判所の許可を受ける必要があります。

相続財産管理人が妥当と考えられる売却予想額を裁判所に示して、了承を得てから売却手続きに進むことになります。

売却の許可を得れば売買手続きを行うことができますが、その際には通常必要になる書類等に加えて以下のものが必要になります。

  • 相続財産管理人の選任審判書
  • 不動産売却の許可決定書
  • 相続財産管理人の印鑑証明書
  • 相続財産管理人の実印

複数の債権者がいる場合はどうなる?

被相続人に債権者が複数いる場合、それらの者には債権額に応じて按分された弁済金が交付されます。

例えば相続財産が100万円であったとして、債権者Xが100万円、債権者Yも100万円の債権を被相続人に対して有している場合、XとYはそれぞれ50万円ずつの弁済を受けることができますが、残った残額については両者とも弁済を受けられません。

回収できなかった分についてはそれぞれが負担し、回収を諦めるしかありません。

これを踏まえると、予納金の負担をしたうえで自分の債権額を満足に回収できるかどうかについては良く調べる必要があります。

相続財産が少ない、不動産に価値がないなどで実質的な弁済原資を確保できる見込みがない場合や、債権者が多数いて一人あたりの回収額が少額になってしまうようなケースでは、予納金の額が上回り費用倒れになってしまう可能性もあります。

相続財産管理人の選任申立てにあたっては、被相続人の財産調査などを行って利益があることを確認したうえで行う必要があるでしょう。

相続財産管理人のまとめ

この章では、お金を貸した相手が亡くなった場合など、自分が債権者となるケースで相手の不動産から貸付金を回収するための方法について見てきました。

相続人がいる場合で当該人が相続を承継する場合は、債務負担も引き継ぐので相続人に借金の弁済を求めていくことができますが、相続人が最初からいない場合や、全員が相続放棄してしまい相続人がいなくなった時には弁済を求める相手がいなくなってしまいます。

こうなると不動産があってもそこから弁済を受けることができなくなりますが、「相続財産管理人」を選任してもらうことでその道が開かれます。

相続財産管理人はその職務上で不動産を売却して債権者への弁済資金を作り出すことができるので、債権者はそこから貸付金を回収することが可能になります。

ただし、相続財産管理人の選任申立てには予納金の負担がかかる可能性があることや、不動産に価値がなければ満額の弁済を受けられない可能性があることなどに留意が必要です。

▼この記事を読んだ方はこちらも読んでいます。
不動産売却と成年後見人とは? 成年後見人による不動産売却について!認知症になった親の不動産を代わりに売却することはできる? home4uで一括査定

\面倒な税金の計算は業者に任せよう!/

HOME4U公式サイトへ 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です