相続税評価額と計算方法について!土地や建物の価値がわかる

相続税評価とは

不動産は一般に資産・財産として扱われますから、不動産を多く持っているほどに裕福であると認識されます。

不動産はうまく活用することでさらに利益を生み出すことができ、単純に安く買って転売し利益を出したり、賃貸に出して収益物件として活用し家賃収入を得ることもできます。

この大切な不動産資産は相続によって親から子など下の世代に受け継がせることができますが、承継対象になる不動産は相続税の課税対象になります。

相続税は課税対象の価額に一定の税率をかけて算出しますが、対象不動産がどれだけの価値を持っているかを計算し数値化しなければなりません。

不動産の価値と言えば皆さんは市場価値(実勢価格)を思い浮かべると思いますが、相続では市場価値の理論とは別のルールである「相続税評価」を用いて価値を算定することになります。

この章では不動産価額の評価法の一つである相続税評価について解説していきます。

不動産の相続税評価とは?

相続税評価とは?
例えば父親が死亡し相続が発生したケースで子が相続人となる場合には、父親が残した遺産は相続財産として子が引き継ぐことができます。

相続財産には一定の税率がかけられ相続税が課税されることになりますが、税率をかける対象となる相続財産は全て数字に置き換えなければ計算ができません。

現金や預金であればそのままの価額に税率をかけることができますが、有価証券や不動産は数値化しなければ税率をかけることができないからです。

では不動産の場合どのようにして数値化したら良いのでしょうか。

※相続不動産の売却について詳しくは『相続で引き継いだ実家はどうする?相続不動産の売却と活用について』こちらから

近所の不動産業者に相談して査定してもらい、市場価値として数値化すれば良いようにも思えますが、そうなると例えば相続税の負担を減らすために不動産業者にワイロを支払い、評価を不当に下げることもできてしまいます。

また全国の不動産業者で判断がバラつき、A社では高めに評価され相続税負担が大きくなり、Y社では低めに評価されて税負担が下がるなど不公平も出てくるでしょう。

そのようなことにならないために、相続税の計算で不動産を数値化する時は全国どこでも同じ評価ができるように国が共通の評価法を用意しています。

「財産評価基本通達」というルールを作り、その中で不動産にかかる相続税評価の仕方も取り決められているのです。

土地と建物で評価の仕方が異なり、また自分で使用するのか、それとも他人に貸しているのかなどによっても評価の仕方が違ってきます。

相続税評価はなかなか難しい分野ですが、不動産のオーナーならば基本的なところはぜひ知っておきたいものです。

また不動産売却時のある程度の相場感の把握として利用されることもあるので、知識として持っておいて損はありません。

次の項から土地と建物に分けて相続税評価のルールや仕組みについて見ていきましょう。

<土地の評価編>土地の相続税評価は路線価方式の評価が原則

土地の相続税評価
土地に関しては原則として路線価方式により評価することとなっています。

路線価とは、各国税局が毎年1月1日時点における現在価値として定める土地の価額を基にして計算する方式です。

路線価は主に人口が多い市街地を形成する土地について定められており、路線価が定められていない土地については後述する倍率方式で算定することになります。

路線価は路線価図で確認することができ、税務署や大きい図書館などには冊子状のものが設置されています。

ネット上でも確認することができるので、「国税庁 路線価図」で検索すると以下のサイトが表示されるはずです。
参考 財産評価基準書国税庁

路線価図では1㎡あたり千円単位で土地の価額が分かるようになっており、路線価に土地の面積をかけることで基本の土地価額が分かるようになっています。

実際の路線価図を見ると、住宅地図に似ていますが色々と記号や数字が書かれているので読み取り必要です。

不動産オーナーならばこの読み取りもできるようにしなければなりません。

路線価見本

実際に路線価図を見てみると、道路上に数字とアルファベットが記載されています。

中にはその数字を囲むように記号があるものも確認できます。

そして数字からは道路沿いに一定の区域まで矢印が伸びていますね。

1㎡あたり千円単位で示されているということは、例えば670Cと書かれた区域は、矢印が及ぶ範囲でその土地が1㎡あたり67万円であることを示しています。

数字の後ろのアルファベットは「借地権割合」というものを示すものですが、人に貸している土地は減額評価することができ、その減額割合に影響するものです。

後の説明でも登場するので覚えておいてくださいね。

借地権割合はアルファベット順に以下のような割合を指します。

アルファベット借地権割合
A90%
B80%
C70%
D60%
E50%
F40%
G30%

また円形の記号は地区区分を表しており、路線価図左上にも説明がありますが、記号によってどのような種類の地区区分かが分かるようになっています。

ちなみに何も記号が無い地区は普通住宅地区を表します。

地区区分は、後に述べる補正措置の段階で影響してきますのでこれも覚えておいてください。

自用地の評価方法

自用地とは、人に貸したりせずに自分で使用している土地のことを言います。

自用地は「路線価図×地積」で基本の価額が求められますが、土地の形状によっては各種の補正が加えられます。

この補正は土地の使い安さ、使い辛さを考慮して、その分を評価に反映することができるものです。

減額評価ができればその分相続税の負担を減らすことができますが、知らないでいるとその分高額評価になり税負担が上がってしまいます。

以下で代表的な補正項目の概要を見ていきます。

①奥行価格補正

この補正は、面している道路からどれくらいの奥行きのある土地なのかという点に着目するものです。

奥行きは長すぎても短すぎても使いづらいと評価できるので、丁度良い距離の土地以外は減額補正されることになります。

先述した「地区区分」によっても補正率が異なり、例えば普通住宅地区であれば奥行きが10m~24mまでは丁度良い奥行と評価され補正率は「1」、つまり変動なしとなりますが、それ以外では減額されることになります。

例えば8m以上10m未満であれば0.97の補正が入り、「路線価図×0.97×地積」として計算します。

②側方路線影響加算率

この補正は正面だけでなくその側方にも面している道路がある場合に用いる補正です。

路線価に奥行価格補正率をかけた後の数字が大きい方が正面道路となり、その他方が側方路線として扱われます。

計算の順序としては、
a正面道路の路線価×奥行価格補正率
b側方の路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率
c(a+b)×地積
上記a~cの順番で計算します。

側方路線影響加算率は地区区分によって変わりますが、例えば普通住宅地区の角地(道路が交差する角の土地)であれば0.03となります。

③二方路線影響加算率

正面道路の反対側にも面している道路がある場合には、側方路線と同じように二方路線影響加算率を用いて補正がかけられます。

④その他の補正

上記の他にも不整形地補正率、間口狭小補正率、奥行長大補正率、がけ地補正率など多くの補正項目があります。

上記の各補正率等は国税庁の以下のページで確認できます。
参考 奥行価格補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外改正)国税庁

各土地の形状や状態によって利用できる補正項目が異なりますが、実際の適用の有無にあたっては素人の方では判断が難しいと思いますので、相続税に明るい税理士等に相談するのが確実です。

貸宅地の相続税評価

人に貸している土地は、所有権自体は自分にあったとしても自由な利用が制限されます。

その分減額して評価することができ、相続税の負担を減らすことができるようになっています。

人に宅地として土地を貸している地主側から見た貸宅地の評価は「自用地評価額×(1-借地権割合)」で計算することができます。

借地権割合は路線価図の見方で説明したアルファベットで確認することができます。

例えば自用地評価額が1千万円で、借地権割合がC=70%であれば、

1千万円×(1-0.7)=300万円で評価することができます。

貸家建付地の相続税評価

貸家建付地というのは、例えばアパート経営をしている大家さんなど、建物を建ててその家屋を他人に貸している場合の、その用地のことを言います。

この場合の土地も所有権自体は大家さんにありますが、アパートの借り主など賃借人には一定の権利が発生するため大家さんは完全に自由に利用することができません。

貸家建付地はその分減額して評価することができ、計算式としては以下のようになります。

自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

借地権割合は先述の通りですが、借家権割合は現在一律の0.3となっています。

賃貸割合というのはどれくらいの人が借りているのかという入居率を反映させるもので、具体的には家屋の各独立部分の床面積の合計に占める、課税時期において賃貸されている各独立部分の床面積の合計となります。

満室経営の状態であれば1ということになりますね。

自用地評価額が1000万円、借地権割合がC=70%で満室経営であれば、1000万円×(1-0.7×0.3×1)=790万円として評価することができます。

路線価が設定されていない土地は倍率方式で

評価倍率表を使う
路線価は人口が多い土地に設定されていますが、日本全国の津々浦々まで土地の評価を行うことは国税局の負担が多すぎで現実的に無理があります。

そこで主要な土地以外は市区町村が算定する固定資産税評価額を基準に相続税評価をする「倍率方式」が適用になります。

「固定資産税評価額×倍率」で計算することになりますが、倍率はその土地の区域によって国税局長が定めます。

国税庁のHPでは路線価図の他にも倍率方式に用いる倍率表も確認できるようになっています。

倍率方式ではすでに倍率設定の段階で土地の個別的な事情を考慮したうえでの数字となっているので、不整形地等の補正は基本的に行いません。

<家屋の評価編>家屋の相続税評価

家屋の相続税評価
家屋の評価は土地に比べると割と単純で、特に自分で使用する自用家屋の評価計算は以下のようなシンプルな計算式となります。

自用家屋評価額=固定資産税評価額×評価倍率(1.0)

家屋は市区町村が定める固定資産税評価額を利用して計算しますが、自用家屋は上記の通り単純です。

現在の評価倍率は一律1.0となっていますから、つまりは固定資産税評価額そのままということになります。

人に貸す貸家の場合、自由な利用が制限される分減額して評価することができます。

計算式としては以下のようになります。

貸家評価額=自用家屋評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

自用家屋評価額は=固定資産税評価額が入り、借家権割合は現在一律で30%となっています。

貸家建付地の説明にも出てきた賃貸割合は満室ならば1となります。

自用家屋評価額が1000万円だったとすれば、貸家評価額は以下のようになります。

1000万円×(1-0.3×1)=700万円

家屋についてはこのように土地よりは取扱いが簡単です。

土地も家屋も、市場価値は高いほどに嬉しいものですが、相続税評価については評価が低いほどに相続税負担も下がるということになります。

不動産の評価法のうち相続税評価については、どれだけ合法的に評価を下げられるかという視点で見るようにしましょう。

相続税評価額のまとめ

この章では不動産の評価法の一つ「相続税評価」について見てきました。

日本の相続事情ではほぼ必ず不動産が相続財産に入ってきますから、自分の相続時に不動産がどのように評価されるか、または自分の親などが死亡した際に、実家をどのように評価するのかは市場価値ではなく相続税評価を用いて価額を算出する必要があります。

不動産は売ると現金化できますが、相続税は現預金よりも不動産の方が税負担が軽くなるのが普通なので、売って現金化して相続するよりも、不動産のまま子や孫などに継がせた方が税金面では有利になることが多いです。

特に土地は減額できる補正ルールも利用できるので、条件によっては税負担をさらに軽減することもできます。

ただルールや仕組みが難しいのが難点ですので、適宜相続税に明るい専門家を利用することも検討しましょう。

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